| 第7回アジア選手権(2005年6月、ホーチミン市にて) |
 <イランを破ったもののまたしても2位に終わった日本>
世界選手権が終わった翌年のアジア選手権ということで目標は打倒イランに絞られた大会となった。実際、日本は先に行われたNIOCカップ(イラン招待国際試合)でその手ごたえを十分感じての参戦だったと思う。また、日本もだいぶ世代交代が図られたが、イランやタイも然りで次の世界選手権を睨んだ大会ということもできる。
もっとも、場所はベトナム、ホーチミン市、まったくフットサルの知名度が低い国での開催で、このような思惑とは裏腹に、前2回のイラン、世界選手権予選のマカオと比べたら少ない観客の中で行われた大会でもあった。
<メンバー>
GK 川原 永光 田原FC
GK 石渡 良太 SHARKS
GK 定永 久男:FIRE FOX
FP 鈴村 拓也: スペイン2部、バルガスMAG
FP 伊藤 雅範 府中AFC
FP ヒカルド比嘉 琉球FC
FP 鈴木 隆二 FIRE FOX
FP 金山 友紀 CASCAVEL
FP 藤井 健太:**
FP 小野 大輔:FUTURO
FP 木暮 賢一郎 FIRE FOX
FP 稲葉 洸太郎 FIRE FOX
FP 高橋 健介 PREDATOR
FP 小宮山 友祐 FIRE FOX
*第6回大会から比べると相根、市原、前田、難波田、稲田のかわりに小宮山、高橋、鈴木、伊藤が入った勘定になるが、若返りとはいえ、まだまだ代表から遠ざかるには惜しい選手達ばかりである。
<予選1次リーグ>
<予選1次リーグ組み合わせ>
A組:タイ、中国、モルジブ、トルクメニスタン
B組:ウズベキスタン、パレスチナ、マカオ、フィリピン、
C組:イラン、クウエート、レバノン、ブータン
D組:韓国、台湾、タジキスタン、カタール
E組:日本、マレーシア、インドネシア、グアム
F組:キリギスタン、イラク、台湾、ベトナム
*今大会は参加国が増え24カ国となった。その関係で予選は1次、2次リーグと分かれることになり、また、予選1次に敗れた国だけのプレートの部の予選リーグ、トーナメントが行われることになった。
そして、なんと予選2次リーグで早くもイランとぶつかることが濃厚であることが現地入りして判明した。
仕組みとしては予選1次のグループを1つ置きに振り分け、A、C、EのグループとB、D、Fのグループに分かれて、1位、2位を振り分けることになっていた。
Aグループ1位候補はタイ、Cグループ1位候補はイラン、Eグループ1位候補は日本ということで、偶然というかうまくできているというか強豪だけのブロックが出来上がるというわけである。また、ワイルドカードの1位候補としては、中国だろうと予想されており、まさにイラン、日本、タイ、中国の死のブロックが出来上がることが予想された。
 
<体育館は立派なフートースタジアム>・・・・・・・・・・・・・・・・<中はガラガラ・日本のトレーニング>
日本の予選1次リーグ組み合わせは全くといっていいほど危ない相手はおらず、予想どおりグアムに18−0、マレーシアに7−0、インドネシアに7−0と勝利し、1位抜けした。特筆すべきはすべて0点に抑えたことと、木暮が合計14得点と今までのアジア大会ではイランのサムシャイエの独壇場であった得点王争いに割り込んできたことだった。
他の組でも波乱はなく、A組タイ、B組ウズベキスタン、C組イラン、D組タジキスタン、F組キリギスタンが
それぞれ1位抜けした。また、ワイルドカードで中国、クエートが上がった。
<予選2次リーグ>
<カップの部予選2次リーグ組み合わせ>
G組:タイ、イラン、日本、中国
H組:ウズベキスタン、タジキスタン、キリギスタン、クエート
*決勝トーナメントで当たるかと思われた日本とイランの激突が早くも予選2次リーグ第1戦で実現することになった。2位までが決勝トーナメントに進出できるが、タイも力を伸ばしてきており、ここは負けらない一戦となった。
 
<相変わらず熱い応援と勝利の日本代表>・・・・・・・・・<足を痛めたか、失意かイランのサムシャイエ>
<歴史的勝利、3−1で日本がイランを下す>
いきなりの直接対決であったが、日本の方が落ち着いた戦いぶりを見せ、イランは王者の驕りか強引な攻めが多い戦いぶりとなった。
<前半>
スコアこそ0−0だったが日本の方が得点を予感させるシーンが多かった。むろん、イランも惜しいシーンはあったが、遠めからの強引なシュートが多く、崩して点を取るような姿勢が感じられない。あいかわらずサムシャイエへのピヴォ当て頼りのイランであった。
<後半>
6分、落ち着いて敵のスキを狙っていた甲斐があった日本がついに先制点を奪う。木暮の小野へのピヴォ当てを小野が落として木暮がドンピシャの先制シュートであった。2人のコンビネーションはこれまでもいいところがあったが、恐らく2人の中でも最高のシーンとなるのではないだろうか。
さらにその1分後、今度はカウンターから藤井が左サイドを駆け上がり、最後は中央での折り返し、これを木暮が滑り込んでゴールに押し込み、2点目を奪う。
あせるイランはますます強引なシュート。その1本がズドンと決まって1点返す。この1点はさすがの川原も取れないくらい破れかぶれに打ったものだった。(後半残り7分)
このイランが2−1にした直後の藤井の1点が大きかった。イランのボールをカットして日本の速攻、ドリブルで上がった藤井が直接グランダーのシュート、これが決って再び2点差とする。
最後はヘイドリアンがパワープレー、日本は5ファウルから第2PKをシャムサイエが蹴るなど危ないシーンもあったが、集中力で凌ぎ、ついに歴史的勝利を納めたのだった。
<勢いに乗りこのまま1位で予選2次も通過>
勢いに乗った日本は中国にも5−1、力をつけて来たタイも4−2で下し、1位で2次リーグ予選を突破した。 一方のイランはどうかというと、日本が中国に5−1で勝った目、なんとイランはタイにも3−3で引き分けてしまった。しかも、タイのカウンター攻撃が成功して、前半の早い時間でタイが2−0、後半も最後まで3−2でリードしており、イランはまさに土壇場に3−3として辛うじて首の皮1枚がつながったのだった。
実はこの時点で日本は次のタイ戦に引き分けでも1位通過、かつイランは決勝トーナメントに行けないという状況にあったのだが、フルメンバーで出場し、あえてこの選択肢を取らなかった。イランは10−3で中国を破り、2位で決勝トーナメントに進出することができた。
結果論であるが、この頃が日本のコンデションはピークだったのかも知れない。勢いの影に隠れて序々に疲労が蓄積していたのだった。タイ戦を引き分けで終わるかどうかはわからないが、主力メンバーを休ませる手はあったかも知れない。落胆したタイ、喜んだイランであった。
<決勝トーナメント>
<準決勝 対キリギスタン戦>
準決勝の相手はH組2位のキリギスタンとなった。1位は前回大会準決勝で世界大会進出を決めたウズベキスタンである。
<前半>
なんとなく日本は疲れているのか安心したのか、あまりプレスをかけずに相手にボールを持たせてしまった。こうなると旧ロシア系はテクニックがあるので、DFをかわしてシュートあるいは意表をつくパスからのシュートなど危険だ。
4分、ちょっとDFをかわしてシュートコースを作ったあとのシュート、なんの変哲もないゆるいグランダーシュートに思えたがコースが良かったのだろうか。川原はボールを見送るように見てしまい、それがゴール左スミポストに当たって入ってしまう。今大会はじめて日本は先制を許す。
今度は10分、ゴール中央で反則からのフリーキック、この強シュートが決って2点目も許す。
3点目は木暮の高橋への横パスが甘かった。パスカットを食らって速攻、ゴール左スミに決ってなんと3点りードされてしまう。前半残り2分であった。
このまま0−3で終っては精神的ダメージが大きい。これを救ったのが高橋だった。ピヴォに入った高橋に木暮が長めのパス、高橋はこれをテクニシャンらしくちょんとヒール気味に流すようなシュート、これが決って前半を1−3で折り返す。
<後半>
0−3で終るのと1−3で終るのでは気分的にだいぶ違う。また、後半は相当気を引き締めたのだろう。最初から前がかりで攻める日本、その効果はすぐ現れた。
後半開始早々、木暮が右サイドの小野にタテパス、小野はこれをキープしたあとヒールで相手のマタを抜いて落とすとそこに木暮が走りこんでシュート、1点差とする。この木暮ー小野のコンビこそ、合宿からイラン遠征までずっと2人で話し合って練習してきた成果である。ウクライナ戦では小野がケガをして見られなかったが、今大会では随所にこのパターンがみられた。
さらにその3分後、またしても木暮だった。ゴール中央から右サイドの小宮山に当て、小宮山がタテに走る木暮に浮き球のタテパス一本、これを木暮が走りこみながらダイレクトシュート、ついに同点とする。
振り出しに戻した日本は、6分、鈴村が藤井の横パスを受けたあと、右サイドをドリブルで攻め上がり、強シュート、前にいた高橋のブラインドになったかキーパー取れずにズドンと勝ち越しシュートを決める。
ついに4−3でリード、しかしここからが長かった。ペースは日本だし、決ってもおかしくないシュートが何本かあったが、追加点が入らない、
キリギスタンも粘って、日本の危うい場面もあったがり、最後はキリギスタンはパワープレーにも出たがそのままタイムアップ、4−3で日本が辛勝した。
<決勝 対イラン戦>
予選リーグで戦ったイランとは見違えるほど守りを強め、強引な攻めが影を潜めたイランとなった。サムシャイエはチームに対して献身的な働きをした。日本は辛うじて勝ったキリギスタン戦の疲れが尾を引いていたのだろうか
、大事なところでミスが出てしまう戦いとなった。
<前半>
2分、ゴールキーパー川原と木暮のインターフェースが悪かったのか木暮が戻したパスはバックパス、イランにFKを与えるピンチを迎える。これをサムシャイエにしっかり決められ、先制点を奪われてしまった。前半2分なので、まだまだと捉えるか、思わぬ開始早々のやらずもがなの1点で落胆と捉えるか、微妙な所であるが、どちらかというと後者であった。
なんとなくリズムに乗れない日本は続いて6分、速攻からのカウンターをくらい2点目を奪われる。予選リーグのイラン戦は日本が守り、イランの強引な攻めのミスをとがめて日本がカウンター攻撃という展開であったが、この試合は逆転の構図になってしまった。
<後半>
後半になっても、日本が攻めてイランがカウンターのパターンは変わらなかった。2点をリードされているのでこの展開は仕方がない。しかし、カウンターで点を取る労力としっかり守っている相手を崩して点を取る労力はどちらが上かははっきりしている。日本はいい崩しを見せるが最後を決めるほどのパワーは残されていなかったのだろう。
たとえば、後半早々4分の比嘉からの小野へのパスからのシュート、7分の木暮のシュートなど、微妙なタイミングのズレ、もっといえば切れのなさからゴールを奪うことは出来なかった。
それでもイランは8分で5ファウル、日本は10分からは比嘉のパワープレーを行い、なんとか1点を奪いに行こうとする。しかし、イランの守備は堅かった。これまでの日本の戦いぶりを研究しており、すばやくプレスをかけてラストパスやシュートを打たせない。
逆に残り8分には金山が2枚目イエローで退場、なんとか追加点を許さなかったものの2分のタイムロス、さらにはようやく第2PKを得るも比嘉のシュートは決まらずと時間は刻々と過ぎていった。
残り30秒にもゴール前フリーの木暮にボールが入ったが、一歩出足が遅れたか、ダイレクトにあわせたボールは枠の外だった。これで万事休す、日本はゼロ点でイランに破れ、またしても2位の座に甘んずることとなった。
 
<いつもより喜びも大きい?イラン>・・・・・・・・・・・・・・<大会MVPの木暮・・表情は硬かった>
<総括>
優勝はイラン、準優勝日本、3位決定戦は行われなかった。(詳しくは結果を参照)
日本の戦績は以下のとおり。なお、木暮は21得点とイランのサムシャイエには2得点及ばなかったが、大会MVPに選ばれた
予選1次リーグ
5月22日 対グアム<18ー0>○木暮9、高橋3、金山2、鈴村、藤井、稲葉、小宮山
5月23日 対マレーシア<7−0>○木暮3、藤井2、稲葉、金山
5月25日 対インドネシア<7−0>○高橋3、木暮2、伊藤、比嘉
予選2次リーグ
5月28日 対イラン<3−1>○木暮2、藤井1
5月29日 対中国<5−1>○木暮、小野、金山、鈴村、藤井
5月31日 対タイ<4−2>○木暮2、小野、鈴村
決勝トーナメント
6月03日 対キリギスタン<4−3>○木暮2、鈴村、高橋
6月04日 対イラン<0−2>●
念願のイラン初勝利は飾ったものの大会はまたしても2位に終わり、喜び半ばの大会となった。しかし、個々の能力や個々の戦術、技術についてイランに引けをとる時代は終わり、長丁場でのチームコンデション調整、気持ちの切り替えなどの課題が浮き彫りになる時代を迎えたといえ、これは前向きに進歩と捉えたい。
| |