| 第6回アジア選手権詳細(2004年4月、マカオにて) |
 <悲願の世界選手権出場権を獲得・・・サポータの力も大きかった>
いよいよ世界選手権出場をかけたアジア予選が始まった。バンコクの悲劇といわれ、あと一歩で出場権を逃してから、はや4年、あのときからアジア大会2位を連続2回も続けることが出来るようになった日本、数々の国際大会を経験し実力が上がってきた日本、しかし、それはそれ、ここで力を発揮できなければ何の意味もない。とりわけ、4年前の悲劇を味わった鈴村、難波田、市原、相根、前田、藤井、定永の各選手の熱き思いは相当なものがあったであろう。
かくして、幕は切って落とされた。
<メンバー>
GK 川原 永光:田原FC
GK 遠藤 晃夫:FIRE FOX
FP 鈴村 拓也:MAG
FP 相根 澄:PREDATOR
FP 難波田 治:FIRE FOX
FP 前田 喜史:CASCAVEL
FP 藤井 健太:MAG
FP 市原 誉昭:PREDATOR
FP 稲田 佑介:CASCAVEL
FP ヒカルド 比嘉:琉球FC
FP 金山 友紀:CASCAVEL
FP 木暮 賢一郎:FIRE FOX
FP 稲葉 洸太郎:渋谷ユナイテッド
FP 小野 大輔:FUTURO
GK 定永 久男:FIRE FOX
*メンバーとしては、直前合宿のオーストラリア遠征と同じメンバーである。ただし、石渡がケガをしたのでその代替としてFIRE FOXの遠藤が選出された。また、その経験からキーパーの不測の事態に備えて登録外だが定永を3人目のキーパーとして帯同することとした。オーストラリアのケガで心配された市原、相根はなんとか間に合い、日本にとっては心強いものとなった。
<予選リーグ組み合わせ>
A組:イラン、ウズベキスタン、インドネシア、カンボジア
B組:クウェート、 韓国、台湾、モルジブ
C組:日本、レバノン、キルギスタン、フィリピン、マカオ
D組:タイ、マレーシア、中国、グアム
*2年連続2位という努力で大事な本番で良い組み合わせに恵まれたといえる。むろん、1位のイランとは別組かつ決勝で当たる別の山に組み分けられている。
<予選リーグ>
 
<日本の入場行進>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<国旗掲揚>
初戦はレバノン戦であった。レバノンとは過去対戦したことはなく、噂ではサッカーチームで個人技はあるらしい。先発は、定番化した感のある難波田、比嘉、藤井、木暮、GK川原で、序盤から攻めるのは日本であった。しかし、初戦とは難しいもの、決して固くなっていたわけではないと思うがなかなか点が入らない。ボールはそこそこ回るし、ピヴォ当てやサイド攻撃など仕掛けは多彩だ。3分、比嘉→木暮のポストプレー、8分、藤井から比嘉のサイド攻撃、12分、難波田のミドルの強シュートなど、ことごとく最後のシュ−トが決まらない。
決まったのは、13分、実は泥臭いものであった。右サイド、難波田が打ったシュートはキーパーの足に当たってゴール中央の浮いたボールになり、これを金山がヘッドで押し込んだのだ。終了間際には第2PKのピンチもあったが、川原がしのいで、前半は1−0のリードで終了。
後半もペースは同じだった。打てども打てどもシュートが入らない。逆に6分、レバノンの速攻からの攻撃はバーに当たり、跳ね返りのシュートは川原がファインセーブと、大ピンチを招く。
しかし、9分、またしても執念のゴールが生まれる。右サイドギリギリから前田がセンタリング、これを稲田が滑り込んで倒れこみながら体でシュート、ボールはゴールに転がり込んだ。稲田はうれしい代表初ゴール。
これで2−0となったが、その後も残り4分までは点が入らない。その4分、木暮がゴール中央で相手ボールをカットすると、左サイドにドリブル、そのまま強シュートが決まって3点目、残り18秒に鈴村の右サイドからのセンタリングを中央の比嘉が蹴り込んで4点目、こうしてスコアーは4−0であったが、苦戦したような初戦であった。
2戦目のキリギスタン戦は、第4回のアジア選手権で戦っており、2−1で勝ったものの楽には勝てなかった相手だ。
というわけではないだろうが、最初の10分は日本は固かった。ただし、ボールキープは日本が優位に進めている。先制したのはキリギスタン、前半9分、一瞬の隙でシュートコースが空いてしまい、しかもキーパーのブラインドになった感じで点が入ってしまう。
だが、今の日本はまったく動じない。
11分に、固さを打ち破る木暮の右サイドからの同点シュートが決まった。自陣ボールから右サイド縦に藤井から木暮へパス、木暮はファーサイドの比嘉に振って、折り返しのボールをもらって、ファインシュート、日本らしいパス交換が決まった。
こうなると、あとは日本のペース、続く1分後、今度は左サイド、難波田から比嘉の縦パスから比嘉がキーパーをかわすゆるいシュート、これが決まってたちまち逆転した。
後半開始早々、難波田、得意の強シュートが決まって3−1、最後はGK川原のロングシュートが決まって4−1で勝利、これで予選リーグ突破はほぼ確実なものになった。
続く3戦目はフィリピン、それまでベンチの外だった小野、稲葉がベンチ入りし初登場、また、GKには遠藤が起用された。結果は12−0で圧勝した。初登場の小野であるが、持ち前のポストプレーのうまさを見せ、落としや振り向きシュートなどいい場面を作った。残念ながら初ゴールはならなかったが、その後の活躍を予感させるものであった。稲葉も持ち味のドリブルを見せ、最後に得点して、代表初ゴールを記録した。
最終は地元マカオ戦、地元だけに多くのファンが集まり、本来ならアウェーといいたいところだが、すでに日本は予選リ−グ突破を決めているのでリラックスムード、結果は17−0で圧勝した。日本は、過去、アジア大会でこんなに大差をつけて勝ったことはない。前の試合のフィリピン戦といい、サッポ監督の攻撃サッカーが、相手が弱いとはいえ実を結んだといえる。
とりわけ好材料は小野の活躍であった。10分過ぎ、得意のポストプレーからの振り向きシュートで代表初ゴール、後半にも1点を決め、そのほか、落としやパスでアシストするなど得点にからむ動きを見せた。
<決勝トーナメント>
日本は4勝無敗で1位で勝ち上がり、結局、予選リーグの1位、2位は以下のとおりとなった。日本は、D組2位の中国と準々決勝を争う。
A組:イラン、ウズベキスタン
B組:韓国、クエート
C組:日本、レバノン
D組:タイ、中国
準々決勝の中国は、国内でプロリーグが発足したこともあってか、 最近力をつけてきていて、体が大きくフィジカルに強い点が特徴だ。しかし、パスワークや戦術面では日本より劣る。
日本の先発は、いつもどおり。しかし、この試合、これまでチーム得点王だった稲田を外して小野をベンチに入れた。前の試合の活躍もさることながら、小野のピヴォ位置でのキープ力、展開力に期待してのことであった。結果的には、この起用がずばり当たった。
先制したのは日本、7分に藤井のゴール前の木暮にあわせたボールを、木暮がアウトサイドで流し込んだ。日本の方がキープ力、展開力は上であったが、残り2分、思わぬ落とし穴が待っていた。コーナーキックからの強シュート一発で同点にされてしまったのだ。しかし、その1分後に再び、難波田のトウキックのミドルシュートが決まり、前半は2−1リードで折り返す。
後半も展開力は日本が上で、再三いいチャンスを作る。しかしながら、4分、またしてもコーナーキックからのクリア遅れをとがめられ、同点にされてしまう。展開は日本、セットプレーで追いつく中国といった流れであった。
しかし、ここからサッポ監督の選手起用がずばり当たる。小野が得意のポストプレーからの振り向きシュートを6分、11分と決めてたちまちリードを広げたのである。最後には藤井が決めて、5−2で勝利、いよいよ世界選手権に王手をかけた。
準決勝の相手は、韓国を破ったA組2位のウズベキスタンであった。
ウズベキスタンとは、過去2勝1分けと相性はいい。日本と同じように技術はあるが、それほどフィジカルは強くなく、スピードもないのでやりやすい相手といえばやりやすい相手である。
先制点は日本、小野、7分に木暮のピヴォ当てパスを振り向いてシュート、昨日の流れから完全に乗ったという感じである。続く10分、鈴村からのロングパスを走りこんだ藤井がダイレクトにシュート、これが決まって2−0、木暮/小野、鈴村/藤井のコンビネーションが光る2得点であった。
結局、前半は2−0で折り返し、試合を有利に進めた日本、しかし、後半は厳しい戦いが待っていた。
後半に入るとウズベキスタンが攻勢に出始め、接触プレーが多くなる。その接触プレーは反則かどうか微妙であったが、日本に不利に働き、ファウルを重ね始めたのだった。それでも、4分、木暮がボールを奪うと単独ドリブル、ゴール右サイドからファインシュート、3−0とした。だが、ファウルも増えていき、なんと残り15分を残して5ファウル、あの4年前の第2回アジア選手権、バンコクの悲劇を思い起こさせてしまった。それは、勝てば世界選手権出場というカザフスタンとの準決勝、前半を2−1で折り返したものの第2PKを4本決められ、結局6−9で敗れてしまったのである。
ついに8分、第2PKから1点を返され、なおも残り5分で再び第2PK、しかし、これはウズベキスタンが外してくれて事なきを得た。確かに混乱したときもあったが、5ファウルになりながら約15分間を1点で抑えたのは、あきらかに日本の進歩であった。
そして、ついに待望の追加点が入る。残り2分、木暮が右サイドを走る金山にパス、金山はゴール前までドリブルで上がり、中央の木暮に折り返すと、木暮、これを冷静に決めて、4−1と引き離し、ほぼ世界選手権切符を手に入れた。残り1分、キックインからの流れで1点返されたが、もはや余裕で勝利のカウントダウンを聞くことが出来た。
そして、終了のホイッスル、ベンチから飛び出し、サポータの前でうずくまるサッポ監督、それぞれに抱き合う選手達、感無量の一瞬となった。
 
<うずくまるサッポ>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<日本の国旗を囲んで雄たけびを上げるチーム>
決勝の相手はイラン、これで3年連続決勝で当たることになった。前回の第5回大会ではアウェーでありながら、4−6とあわよくば勝つかというところまで来た日本である。すでに大きな目標の1つは手に入れたが、2つ目の目標に向かってがんばって欲しい。
先制点は日本、日本が先制点を奪うのは初めてではないが、(第3回大会の予選リーグ鈴村)、前回大会の健闘もあり、イランをこれほど慌てさせたのは初めてではないか。前半3分、右サイドのピヴォの位置でもらった木暮、振り向きシュートを打つとボールははキーパーの股を潜り抜けてゴールに吸い込まれていった。
ここから、イランはシャムサイエとヘイダリアンががんばりを見せる。9分、シャムサイエがゴール前ピヴォの位置でボールをキープ、シャムサイエにかかりきりになったDFの裏をついて、シャムサイエがヒールキックで裏に落とすと、そこにハシャムサデが走りこんで同点、12分、パスミスからボールをかっさわられ、逆転、17分には、ヘイダリアンに強烈なロングシュートを決められ、あれよあれよという間に3−1とリードされてしまった。
後半に入ってもイランの攻勢は続き、日本は難波田のパワープレーで対抗するが、残り1分までで1−5と試合を決定付けられてしまった。残り1分、比嘉、鈴村と得点するが、終わってみれば3−5で、またしてもイランの後塵を拝して第6回を終えることとなった。

<表彰式の模様、日本とイランの選手達>
<総括>
優勝はイラン、準優勝日本、3位はタイとなった。(詳しくは結果を参照)
日本の戦績は以下のとおり。
予選リーグ
4月16日 対レバノン<4ー0>○金山、稲田、木暮、比嘉
4月19日 対キリギスタン<4−1>○木暮、比嘉、難波田、川原
4月20日 対フィリピン<12−0>○難波田2、市原2、前田、藤井2、稲田3、遠藤、稲葉
4月21日 対マカオ<17−0>○比嘉2、木暮3、金山3、小野2、鈴村、難波田、稲田3、前田、相根
決勝トーナメント
4月22日 対中国<5−2>○木暮、難波田、小野2、藤井
4月23日 対ウズベキスタン<4−2>○小野、藤井、木暮2
4月24日 対イラン<3−5>●木暮、比嘉、鈴村
本大会の成果は世界選手権出場が懸かった大会の2位で、今までの2位よりは遥かに価値がある。それはフロックではなく、4年前の悲劇から夢を捨てずにさまざまな困難にもめげず継続的に力を蓄えてきた選手達の努力の成果にほかならない。
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